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仮想通貨の課税 ( Virtual Currencies )

今回は仮想通貨の課税について説明します。

 

 

IRSは仮想通貨を資産、財産として扱います。

米国市民、永住権者、税務上の居住者は全世界の所得を報告する必要があります。

これは仮想通貨の売買で得た所得も含みます。また給与、贈与、その他支払いを仮想通貨で受け取った場合も通常の所得して考えます。

例えば、納税者が商品を売ったり、サービスを提供した代わりに代金を仮想通貨で受け取った場合は、その仮想通貨はその時の市場価格で計算し、USドルにてグロスインカムに含めます。

この受け取った仮想通貨を将来売るときに使用する資産基準値(受け取った時の価格)は、代金の代わりに受け取った仮想通貨のUSドルの市場価格を使用します。米国税務上、仮想通貨の取引はUSドルにて報告します。納税者が市場の需要と供給で決定された適格な市場価格を採用して仮想通貨をUSドルに換算します。

 

もし納税者が受け取ったときの仮想通貨の価格を上回って売った場合はキャピタルゲイン課税対象となり、下回って売った場合は損失となり規定を満たせば控除の対象となります。

一年以上仮想通貨を保有していた場合はロングタームキャピタルゲイン税が適用され一般的には税率を低く抑えることができます。保有期間が一年未満の場合はショートターム税が適用され納税者の所得税率と同じ税率が適用されます。

しかし、納税者がどのように仮想通貨を取り扱っていたかで仮想通貨の性質が変わってきます。例えば納税者が仮想通貨を株、債券、その他資本的資産として扱っていた場合は、仮想通貨は同様に資本的資産と扱い、売買損益はキャピタルゲイン、ロスとして扱います。

反対に、仮想通貨をビジネス上の在庫やその他資産の販売として取り扱った場合は、その売買損益は一般のビジネス上の損益として扱います。

 

ビットコインの採掘(マイニング)を通じて新規ビットコイン通過を受け取った場合の税務処理は、納税者が採掘に成功し通貨を受け取った日の市場価格をグロスインカムとして含めます。採掘をビジネスとして行っている場合は採掘に使用したコンピューター、電気代、通信費などは経費として計上できます。また採掘ビジネスを従業員としてではなく、個人事業として行っている場合はSelf-employment tax(個人自営業税)の対象となります。

従業員、またはコントラクターとして採掘作業の対価として受け取った仮想通過はW2、1099として報告の必要があります。

 

採掘したビットコインを売る場合は二度の税務イベントが発生します。先ず採掘した仮想通貨は、その時点の市場価格でグロスインカムに計上し、その価格が売却する際の資産基準値となります。納税者がその通貨を売却した際に受け取った額は売り上げとして報告し、取得した際の資産基準値と相殺します。相殺後、利益が発生した場合はキャピタルゲインとして、損失が発生した場合はキャピタルロスとして扱います。

 

 

個人確定申告締め切り日

通常個人の確定申告日締め切り日は毎年4月15日になりますが、2020年の申告分については

コロナの影響で5月17日に申告日が延長されました。

 

もし申告が間に合わない場合はForm 4868, Application for Automatic Extension of Time To File U.S. Individual Income Tax Return を提出すると6ヶ月間、申請日を延長することができます。6ヶ月の延長は4月15日から数えることになりますので、10月15日が延長締め切り日となります。5月17日から6ヶ月間延長することにはなりませんので注意してください。

また、延長申請をしても納税支払いの期限が10月15日まで延長されることを意味しませんのであわせて注意が必要です。連邦所得税の支払いが必要な納税者は利子や罰金を避けるために5月17日までに納税の支払いをしてください。

 

アメリカ市民、税務上居住者となる方(グリーンカードホルダー)でアメリカ外に住んでいる場合は6月15日が申告締め切り日となります。しかし納税がある場合は4月15日が支払い日となります。支払いが遅れた場合は利子が発生しますので注意してください。

 

州の申告日は、連邦申告日を異なる場合がありますので州申告も必要な場合は、各州の申告日を確認してください。

尚、ルイジアナオクラホマテキサス州については今年始めの冬の嵐による被害のため、

3州に在住の方の連邦申告日と納税日は6月15日となります。

 

IRSは納税者に対して電子申請(E-file)での申告を推奨しています。理由としては、個人情報保護と還付金の受け取りが早くなるためです。電子申請の場合は申請後21日以内で還付金を受け取れるとのことです。

IRSの下記ウェブサイトから個人の還付金の手続き情報を確認できます。ソーシャルセキュリティー番号、ファイリングステータス、還付金額を入力し確認できます。

 

https://sa.www4.irs.gov/irfof/lang/en/irfofgetstatus.jsp

 

 

投資信託のキャピタルゲイン税節税(Saving Capital Gain Tax From Mutual Fund and ETF)

先日バイデン大統領がLong Term Capital Gain Taxのレートをおおよそ2倍の20%から

39.6%へ引き上げる提案をしました。

この背景には大統領が1.8兆ドルに及ぶ経済政策($1.8 Trillion American Families Plan)の資金を捻出するためと言われています。$1兆ドルは投資へ、$8000億ドルは将来のタックスクレジットへ割り当てられ、富裕層のタックスレートを引き上げることにより、今後15年間でこの資金を埋め合わせられると言われています。

 

もし今後キャピタルゲイン税のレートの増加が決定した場合の節税対策を記載します。

変更は2022年から採用予定で収入が独身者$452,700 、既婚者$509,300以上の納税者に当てはまり全体の0.7%に過ぎませんが、その他の納税者にとっても節税対策になりますのでご一読ください。

またこれは一般の課税投資口座が対象になり、基本的にはリタイアメントアカウントには影響はありません。

 

キャピタルゲイン税は納税者が資産を売却した際の利益に生じる税金で、資産の保有期間によりタックスレートが異なります。1年以上保有した場合はLong Term Capital Tax税のレート、1年未満は納税者の所得税率が適用されます。

納税者の所得額によりますが、基本的にはLong Term Capital Tax税のレートの方が税務上優遇されています。

 

Mutual Fund(投資信託)とETF(上場投資信託)で生じた年間の分配利益(Capital Gain Distribution)は保有期間に関わらず税務上自動的にLong Term Capital Tax税のレートで計算します。確定申告時に投資信託会社から年間分配利益が記載されたForm1099DIVという書類を受け取ります。

 

Mutual Fundの多くの商品はアクティブ運用のためファンドマネージャーが高いキャピタルゲインを得るために積極的にファンドの証券を売買し、売却し利益が発生するたびにキャピタルゲイン税を支払う必要があります。 投資家は、売却する株式を選択することもできないため、キャピタルゲインが短期か長期かを制御することはできません。また例えファンドマネージャーが売却した証券が投資家の証券でなくても全ての投資家へキャピタルゲイン課税が発生します。その結果、課税対象イベントが多くなります。

 

一方ETFの多くの商品はパッシブ運用のため原資産は、四半期に1回など、再評価される頻度が低くなっています。その結果、投資家は通常、基礎となる構造の個々の証券のキャピタルゲインにさらされることはありません。またMutual Fundの投資家が自身のお金の返済を要求するとき、Mutual Fundはその償還を満たし現金を調達するために有価証券を売らなければなりません。 しかし、個人投資家ETFを売りたいとき、投資家は単に株式のような別の投資家に売ることができます。 この際ETFキャピタルゲイン取引はありません。

 

キャピタルゲイン、キャピタルロス、配当に関して、ETFとMutual Fundに対して税法はこれらを同じように扱います。 ただし、ETFの利点の1つは、課税対象となるイベントが少なくなることが多いことです。税務観点からETFを選択することはベターな選択と言えます。

 

 

アメリカ国外の個人事業と個人事業主税(Self-Employment Tax)

今日はアメリカ市民権保有者、またはグリーンカード保有者が日本で個人事業主として

所得があった場合、アメリカ確定申告にどのように影響するか説明します。

 

確定申告上、被雇用者はForm W2源泉徴収票を受け取るのに対し、フリーランサーなどで活動する個人事業主はForm 1099雑収入証明書を受け取ることが多く、被雇用者と個人事業主とを区別する時にどのFormを使用するかで判別します、

 

しかしアメリカ内ではForm1099の情報は発行者がIRSへ報告しますが、アメリカ市民権保有者、またはグリーンカード保有者が日本で個人事業主として得た収入は基本的にForm1099が発行されませんので、事業主自身がIRSへ報告する必要があります。

また一般所得は所得税の対象となりますが、個人事業所得は所得税とSelf-Employment Taxの両方の対象となります。Self-Employment Taxはソーシャルセキュリティーとメディケアタックスから構成されており個人事業主が支払う税金で、個人事業者の責任において計算し報告する必要があります。対して、被雇用者は雇用者が自動的に給料からFica Tax(ソーシャルセキュリティーとメディケアタックス)を直接引いて支払います。

 

アメリカ個人確定申告では基本的に$12,400(2021年)以下の所得の場合は所得税が発生しませんので申告不要となりますが、個人事業主の場合は年間の利益が$400超えた場合は

例え$12,400以下の所得の場合であってもSelf-Employment Taxの対象となり申告が必要となります。

 

一般的にアメリカ市民権保有者、またはグリーンカード保有者が日本に12ヶ月のうち330日以上住んでいた場合はForeign Earned Income Exclusion(外国所得控除)が適用され、日本で得た所得のうち2020年は$107,600、2021年は$108,700 控除できます。

しかし、個人事業主として得た利益が$400を超えた場合は、例えForeign Earned Income Exclusionを適用して所得を控除しても、Self-Employment Taxは支払うことになります。

 

ここでケーススタディです。もしアメリカ市民権保有者、またはグリーンカード保有者の個人事業主が日本で長期滞在した場合はどうでしょう。日本では国民年金アメリカではSelf-Employment Tax(ソーシャルセキュリティーとメディケアタックス)を2重で払ってしまうことが起きてします。

アメリカと日本の2重でソーシャルセキュリティータックスの支払いを避けるため

2005年に日米社会保障協定を結びました。もしアメリカでのSelf-Employment Taxの支払いを止めるためには、日本の年金機構から日本で年金を支払っているという証明書を発行しもらいIRSへ提出する必要があります。

 

 

収入の種類(active income, passive income and portfolio income)と税の関係

今回は税務、会計、金融業界では基本的な知識でありますが、収入の種類についての記事です。昨今日本でもお金の勉強が不足していると話題ですが、お金の知識を理解する上でも役に立つことですので読んで頂けると嬉しいです。

 

皆さん日々色々な方法で収入を得ていると思いますが、基本的に収入の種類を分けると

下記の図で表せます。ほぼ世界中同じと見て良いです。

アメリカでは収入の種類によって税率が変わってきます。

 

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Active IncomeまはEarned Incomeは日本語で就労所得と呼びます。

実際に働き、自分の時間との対価で得る収入です。サラリーマン、自営業者、専門家など多くの方はこのカテゴリーに当てはまります。

一般の累進課税所得税率とFICA税(ソーシャルセキュリティ、メディケア)で計算します。

 

Passive Incomeは受動的所得または不労所得と呼びます。

実際に働くことはなく、あなたが投資したまたは持っている資産から生まれてくる収入を指します。賃貸収入、印税や知的財産の使用料、投資したビジネス(そのビジネスの運営には参加していない)からのリターンなどが含まれます。

Passive Incomeは一般課税所得税率で計算されますが、賃貸収入においては賃貸物件の減価償却やその他控除の活用で税率を抑えるメリットがあります。

 

Portfolio incomeはあなたが取得した資産を売却時に買値より上回った場合に出る差額による収益を指しています、一般的にはキャピタルゲイン、株の売買益、為替売買益が当てはまります。

税率はその資産の保有日数によって区分されます。保有日数が1年以上の場合はロングタームキャピタル税率が適用され、課税所得額と申請ステータスのより0%、15%、20%とに区分されます。一般所得税率に比べる率が下がります。

 

1年未満の保有日数はショートターム税率が適用され一般所得税率に区分されます。

 

尚、現在アメリカはバイデン政権になり富裕層へのキャピタルゲイン税率の増加の可能性があり、2倍の税率へ変更するという案が出ています。(2021年4月27日現在)

 

アメリカでうまく節税するためには私たちの収入の割合をActive Incomeからなるべく

Passive IncomeとPortfolio Incomeへとシフトさせることが鍵であると言えます。

またこれだけアメリカで投資が盛んである理由に、投資した収入に対して政府が緩和な税政策を行っていることも要因と言えます。