米国非居住者(Nonresident Aliens)のための税務ガイダンス
昨今のグローバル社会では日米をまたいでビジネスや投資をしている人が沢山いると思います。日本に居住の日本人が米国で収入を得た場合にどのように課税されるのか知っておくことが大切です。
米国非居住者(Nonresident Aliens)
税務上、米国非居住者とは、米国市民または米国に住んでいる外国人ではない個人のことです。グリーンカード保持者は居住者となります。
また下記の滞在テストを満たした場合は米国居住者となります。
1. 2021年に最低31日間米国に滞在していること、尚且つ
2. 下記に該当する2021、2020、および2019を含むA ,B,C ,3年間の合計が183日以上の場合
A 2021年に滞在したすべての日と、
B 2020年に滞在した日の1/3の日数と、
C 2019年に滞在した日の1/6の日数の合計
米国および外国からの収入
非居住者の外国人は、米国で発生した所得に対してのみ米国の課税対象となります。 非居住者が米国以外から受け取る所得は、米国の課税の対象ではありません。一方、居住外国人は米国市民同様 、世界中の収入(米国と外国の両方収入)に課税されることになります。
一般に、米国からの収入には、米国の組織または個人から受け取ったすべての収入と、米国で行われた仕事に対する報酬が含まれます。
米国外で活動し、支払われた収入は米国での収入とはみなされません。
下記IRSが提供している要約には、どの収入の出処が非居住者にとって課税対象になるか表しています。
いくつか例を挙げますと、非居住者が米国でサービスを提供し得た給料、賃金については米国で課税対象となります。
非居住者が米国銀行から得た利子収入は非居住者が住んでいる国の課税となるため日本に住んでいる場合は日本での課税となります。
非居住者が米国で得た賃貸収入や物件売却益は米国での課税となります。
Item of Income | Factor Determining Source |
---|---|
Salaries, wages, other compensation |
Where services performed |
Business income: Personal services |
Where services performed |
Business income: Sale of inventory -purchased |
Where sold |
Business income: |
Where produced (Allocation may be necessary) |
Interest |
Residence of payer |
Dividends |
Whether a U.S. or foreign corporation* |
Rents |
Location of property |
Royalties: Natural resources |
Location of property |
Royalties: |
Where property is used |
Sale of real property |
Location of property |
Sale of personal property |
Seller's tax home (but see Personal Property, in Chapter 2 of Publication 519, for exceptions) |
Pensions |
Where services were performed that earned the pension |
Scholarships - Fellowships | Generally, the residence of the payer |
Sale of natural resources |
Allocation based on fair market value of product at export terminal. For more information, see IRC section 1.863–1(b) of the regulations. |
U.S. Department of the Treasury 米国財務省
前回のブログではIRS米国内国歳入庁について説明しましたが、今回はU.S. Department of the Treasury 米国財務省についての記事になります。
U.S. Department of the Treasury 米国財務省のホームページには、
米国財務省の使命は、国内外の経済成長と安定を可能にする状態を促進することによって強力な経済を維持します。また経済と雇用の機会を創出し、脅威と戦い、金融システムの品位を保護することによって国家の安全を強化することです。 米国政府の財政と資源を効果的に管理しますとミッションを掲げています。
財務省は内閣の部門であり、経済的繁栄を促進し、米国の財政的安全を確保する責任を負う執行機関です。同省は、経済および金融問題に関する大統領への助言、持続可能な経済成長の促進、金融機関のガバナンスの改善の促進など、幅広い活動を担当しています。財務省は、硬貨や通貨の生産、アメリカ国民への支出、歳入の徴収、連邦政府の運営に必要な資金の借り入れなど、国の金融インフラストラクチャにとって重要なシステムの運用および保守しています。同省は、他の連邦機関、外国政府、および国際金融機関と協力して、世界的な経済成長を促進し、生活水準を高め、可能な限り、経済および金融危機を予測および防止します。財務省はまた、国家安全保障の脅威の財政支援ネットワークを特定し米国に対する外国の脅威に対して経済制裁を実施し、金融システムの保護を改善することにより、国家安全保障を強化する上で重要かつ広範囲にわたる役割を果たします。
歴史
1789年9月2日、議会は新しい連邦政府の財政を管理するために「財務省」を設立し、新しい部門を運営する財務長官の地位を創設しました。ジョージワシントン大統領は、アレクサンダーハミルトンを財務長官の初代長官に任命し、1789年9月11日に就任しました。ハミルトンは、革命中にジョージワシントンの副官を務め、米国憲法の批准の中心人物でした。新しい国の重い戦争債務の問題を解決するために、ハミルトンの財政的および経営的洞察力は財務省にとって良い選択と見なされていました。
新政府の財政統括責任に加えて、財務省は他の多くの監督機能を与えられました。たとえば、郵便局は1829年まで財務省によって監督され、内務省の中核であった総合土地局は1812年から1849年まで財務省の一部でした。事業に関連する業務は1903年に商務労働省が設立されるまでは財務活動でした。そして、財務省の監督建築家のオフィスの機能は、最終的に1949年に一般調達局内に確立されました。
米国で最も古い海上保安局である沿岸警備隊は、1967年に運輸省に移管されるまで財務省に留まりました。 その他沿岸調査、灯台サービス、および海洋病院サービス等の海洋の利益は財務省によって管理されました、そしてそこから最終的には保健福祉省が成長しました。麻薬局は、その機能が今日の麻薬取締局として司法省に移転されるまで、財務省の一部でした。 1921年に財務省に設立された予算局は、1939年に大統領行政府に移管され、現在は行政管理予算局として連邦資金の支出を監督しています。
The secretary of the treasury(財務長官)
2021年1月26日、ジャネット・イエレンは、経済学者として学界と公共サービスで50年の経験を積んだ後、米国財務長官の第78代長官に就任しました。 彼女は、ホワイトハウス経済諮問委員会、連邦準備制度、および財務省を率いたアメリカ史上初の人物です。また米国財務省と連邦準備制度理事会を率いる最初の女性でもあります。
組織
財務省は、事務局(Departmental offices)と運営局(operating bureaus)の2つの主要な部門で構成されています。 事務局は主に部門全体の方針と管理の策定に責任があり、運営局は部門に割り当てられた特定の業務を実行します。 運営局は財務省の労働力の98%を占めています。 財務省の基本的な機能は次のとおりです。
連邦財政の管理
米国に支払われた、および米国に支払われるべき税金、関税、および金銭を徴収し、米国のすべての請求書の支払い
通貨と硬貨; 政府の会計と公的債務の管理
国立銀行と貯蓄貸付組合の監督
国内および国際的な金融、金融、経済、貿易および税務政策に関する助言
連邦財政および税法の施行
脱税者、偽造者、偽造者の調査と起訴
運営局(operating bureaus)
運営局は下記9つの機関で編成されています。その中でもIRSは最大の機関になります。
またfinancial crimes enforcement networkは資金洗浄を見つけるために方針を確立して、実行することに対して責任がある財務省の法執行機関になり、毎年外国金融口座の報告を行うFinCENフォーム114(FBAR)はfinancial crimes enforcement networkの管轄となっています。
- The Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau (TTB)
- The Bureau of Engraving & Printing (BEP)
- The Bureau of the Fiscal Service.
- The Financial Crimes Enforcement Network (FinCEN)
- The Inspector General
- The Treasury Inspector General for Tax Administration (TIGTA)
- The Internal Revenue Service (IRS)
- The Office of the Comptroller of the Currency (OCC)
- The U.S. Mint
Internal Revenue Service (IRS) アメリカ合衆国内国歳入庁
内国歳入庁(IRS)は、米国財務省の機関であり、米国の税法の管理を担当しています。現在のIRSコミッショナーはCharles Rettigです。
IRSには2012年の時点で78,372人の税務職員がいました。
歴史
IRSは、南北戦争の資金を提供することを目的とし、新たに可決された所得税を徴収するために、1862年にエイブラハムリンカーンによって設立されました。その所得税は10年後に一旦廃止されましたが、1894年に復活しました。その後、最高裁判所は1895年にその所得税を違憲と裁定しました。1913年の第16改正の承認により、所得税を徴収することが承認されました。
1913年に最初のForm1040が導入され所得税率は、3,000ドルを超える所得に対しては1%、500,000ドルを超える所得に対しては6%の付加税でした。 税率と種類は状況に応じて変化し、第一次世界大戦中に最高額で77%に達しました。第二次世界大戦中には、給与源泉徴収税と四半期ごとの納税が実施されました。禁酒法の期間中、IRSはアルコールの禁止を施行したことにより非難されました。1931年、IRSインテリジェンスユニットは、脱税の罪で著名なギャングのアルカポネを逮捕しました。
1952年、ハリー・トルーマン大統領はIRSを再編成し、※後援制度(patronage system)を、大統領によって任命され、米国上院によって承認されたコミッショナーおよびチーフカウンセルによる公務員制度(civil service system )に置き換えました。 ドワイト・D・アイゼンハワー大統領は、1953年に内国歳入局から内国歳入庁に組織の名前を変更しました。1954年に、所得税の申告日は毎年3月15日から4月15日に変更されました。
※後援制度
後援制度は、政党が選挙に勝った後、その支持者、友人(えこひいき)、親戚(縁故主義)に政府の公務員の仕事を与える慣行です。政党のために働き続けるためのインセンティブとして、勝利に向けて努力したことに対する報酬でした。
税制改革法はロナルド・レーガン政権の間に可決され、300の税法の規定を変更しました。 IRSは、1998年に、IRS再編および改革法の成立により再編成されました。 再編は2000年に完了し、賃金と投資、中小企業/自営業、大中規模企業、免税および政府機関の4つの主要部門が形成されました。
構造
アメリカ合衆国政府は、立法 (legislative)、行政(executive)、司法(judicial)の3つの部門に分かれています。 行政機関内には15の連邦行政部があり、そのリーダーが大統領内閣の中核を成しています。
行政機関は法律を実行し、施行します。 これには、大統領、副大統領、内閣、行政部門、独立機関、およびその他の理事会、委員会が含まれます。
下記は連邦政府の主要な15の連邦行政部です。 行政部のリーダーは大統領の内閣のメンバーでもあります。
- U.S. Department of Agriculture
- U.S. Department of Commerce
- U.S. Department of Defense
- U.S. Department of Education
- U.S. Department of Energy
- U.S. Department of Health and Human Services
- U.S. Department of Homeland Security
- U.S. Department of Housing and Urban Development
- U.S. Department of Justice
- U.S. Department of Labor
- U.S. Department of State
- U.S. Department of the Interior
- U.S. Department of the Treasury
- U.S. Department of Transportation
- U.S. Department of Veterans Affairs
U.S. Department of Treasury(財務省)は、税金を徴収して請求書を支払い、また通貨、政府勘定、公的債務を管理することにより、連邦財政を管理しています。 財務省はまた、財務および税法を施行します。
IRSはU.S. Department of Treasuryの最大支局となります。
個人情報の盗難に関する納税者ガイド ( Identity Theft )
税金関連の個人情報の盗難は、誰かが納税者のソーシャルセキュリティー番号を含む個人情報を使用して、不正な還付金受給をするため確定申告を行うときに発生します。
個人情報の盗難の被害者であると思われる場合は、紙の申告書を提出する必要がある場合でも引き続き税金を支払い、納税申告書を提出してください。
問題の可能性についてIRSから通知を受けるまで、個人情報の盗難の被害者であることがわからない場合があります。
下記事項に該当する場合は、税金に関連する個人情報の盗難の可能性がありますので注意してください。
・確定申告書を提出しなかったにもかかわらずIRSから疑いがある申告書についての手紙を受け 取った場合。
・ソーシャルセキュリティー番号が重複しているため、確定申告を行うことができない場合。
・依頼していない税関連の書類コピーが郵便で送られて来た場合。
・納税者の名前でオンラインアカウントが作成されたというIRS通知を受け取った場合。
・何もしていないにもかかわらず、既存のオンラインアカウントにアクセスされたか、または無効にされたという通知をIRSから受け取った場合。
・追加の税金、払い戻しの相殺が必要である、または提出しなかった1年間の確定申告に対して徴収措置が取られたというI通知をIRSから受け取った場合。
・勤務していない雇用主から賃金やその他の収入を受け取っていることがIRSに記録されている場合。
・依頼していないにもかかわらず雇用主識別番号(EIN)が割り当てられている場合。
ソーシャルセキュリティー番号が危険にさらされており、税金関連の個人情報の盗難の被害者であることがわかっているか、疑われる場合はIRSは下記の措置を推奨しています。
・IRSの通知にすぐに応答し、提供された番号に電話してください。
・ソーシャルセキュリティー番号の重複が原因で電子申請が拒否された場合、またはIRSが指示した場合は、IRSのForm 14039、個人情報盗難宣誓供述書PDFに記入してください。 IRS.govで記入可能なフォームを使用し、印刷してから、フォームを申告書に添付し、指示に従って郵送してください。
一番重要なことはIRSから納税者に直接Eメールなどを通じて個人情報や金融情報について連絡することはありません。またテキストメッセージやソーシャルネットメディアなどその他の電子通信を使用して連絡をすることもありませんので、IRSを装って連絡が来た場合はしっかり注意しましょう。
課税対象の所得の種類
内国歳入法(IRC)は特別な規定がない限り、あらゆる出所から得られたすべての収入を総所得(Gross Income)として定義しています。
総所得を構成する収入の種類の例を挙げます。個人、法人両方に該当します。確定申告をする際は収入の漏れがないよう注意しましよう。( 次のリストは全ての収入を網羅しているわけではありません。)
・サービスの報酬、コミッション
・ビジネスから得られる総収入
・財産の取引から得られる利益
・利子
・家賃
・ロイヤルティ
・配当
・償還および個別の維持費
・保険型年金
・生命保険からの収入
・老後年金
・債務の免除による収入
・パートナーシップの分配シェア
・被相続人に関する収入(死亡前に稼いだが受け取っていない収入)
・エステートまたは信託の利子からの収入
下記、その他の収入(Other Income)一覧です。
・賞金
・ギャンブルで得た収入(宝くじも含む)
・陪審員報酬
・営利目的のため個人の所有物を貸して得た収入(レンタルビジネスではなくても)
・営利目的ではない趣味収入
・以前の確定申告書で控除した科目の払い戻し(州税、医療費、不良債権など)
・前払いの賃金やコミッション収入
自営業収入について
自営業収入は、個人事業主、フリーランサーなどでビジネス取引、事業を行い得た収入を指します。ビジネス取引、事業とみなされるためには、その活動が必ずしも利益を生む必要はありません。しかし利益を生むことが根本の動機としてある必要があります。
利益を生むことが動機にない人にとっては、その活動はビジネスではなく趣味とみなすことができます。IRSは趣味の損益について定義していますので規則を理解しておくことが大切です。
自営業からの純利益には以下が含まれます。
・ビジネス取引または事業からの収入
・パートナーシップの経常利益または損失の一般的な分配シェア
・パートナーシップからのサービスに対する保証された支払い
・役員報酬
含まれないものは下記となります。
・従業員として受け取る月給(ソーシャルセキュリティーとメディケアタックス対象)
・不動産や私有物の賃貸収入
・配当と利子収入
・Sコーポレーションの株主としての収入または損失の分配シェア
個人事業主に対するFICAについて
FICA(連邦給与税)は ソーシャルセキュリティーおよびメディケアプログラムに資金を提供するために、従業員の給与に対する給与税、および雇用主からの拠出を義務付ける米国の法律です。FICA税の申告と支払いは雇用主の責任です。
通常、雇用主は毎回の従業員の支払い給与から源泉所得税とは別にFICA税を源泉徴収します。
その際に従業員のFICA税に、雇用者が支払うFICA税を追加して納税します。
支払うべき金額の半分を差し控えることによって、従業員とのコストを50/50に分割します。仕事をしてFICA税を支払うと、将来受け取るソーシャルセキュリティー社会保障給付のクレジットを獲得できます。
個人事業主に対するFICAの納税義務は、自営業からの純利益に課せられます。個人事業主の場合は自分が雇用主でもあり、従業員でもあるため、FICA税の支払いは雇用者分と従業員分の2つを支払うことになりますので注意しましょう。
しかし、雇用者分の支払いはビジネス経費として控除の対象となります。
IRSと納税者の間の税務代理について
税に関する問題で不服申し立てなどあるとき、納税者がIRSと税務のやり取りしなくていけないことがあります。しかし納税者は下記の者に依頼し権利、義務を代行してもらうことができます。
Attorneys(弁護士)
CPAs(米国公認会計士)
Enrolled agents(米国税理士)
その他個人(保険数理士、リタイアメントプランエージェントなど)
代理業務の中には下記が含まれます。
1、納税者の代理者としてIRSと連絡の取り合いが可能
2、納税者の代理者としてIRSとの協議、会議、聴聞会に参加可能
3、納税者の代理者としてIRSへ必要な書類を用意し提出が可能
4、事業体、取引、計画、その他取り決めについて書面によるアドバイスの提供、 または 租税回避や脱税の可能性がある計画、取り決めについてのアドバイスの提供
日本では多くの被雇用者は年末調整を雇用者に提出し、雇用者が税務署へ申告しますが、アメリカでは特に個人の確定申告については個人自身が確定申告をします。アメリカでは確定申告書の申告書作成、申告代行業務は、上記の代理人でなくても行うことができます。
報酬を貰って各種申告代理業務を行う者はPreparer Tax Identification Number (PTIN)を取得する必要があります。
納税者が税問題を解決するために上記代理人に依頼する場合はA power of attorney(委任状)を用意してIRSへ提出する必要があります。委任状の正式名称はForm 2848, Power of Attorney and Declaration of Representativeになります。
データによるとアメリカの納税者の56%は税務専門家に依頼しているとのことです。納税者は納税申告書に提出する内容に対して最終的な責任を負うため、適切な税務専門家を選択することは非常に重要です。
ユーチューブのアメリカ源泉徴収開始について
先日グーグルより、2021年早ければ6月からアメリカのユーチューブ視聴者から発生した広告収入に対してアメリカ所得税源泉徴収を開始すると報告されました。5月31日にまでに該当のユーチューバーは自身のアドセンスアカウントから税務手続きが必要となります。もし手続きをしていない場合はグーグルが全世界のユーチューブ収入から最大30%の源泉徴収をするかもしれませんとの内容です。
多くの日本在住の日本人ユーチューバーはアメリカ税務上アメリカ非居住者となります。(アメリカ市民権、永住権者は除いて)
非居住者の場合、基本的にアメリカで発生した収入はアメリカで所得課税の対象となります。アメリカで発生した収入の種類については、アメリカ現地で仕事をした収入、アメリカの会社や金融機関から得た利子や配当、アメリカ物件からの賃貸収入、アメリカで売買した商品や物件の売上などが挙げられます。
インターネットが発達し個人が世界中どこからでも働ける時代になり、アメリカの税務署IRSもこれまでアメリカ非居住者へ支払われる広告収入に対しての課税が困難なこともありグーグルを通して源泉徴収の取り締まりを強化したものであると思います。
似たようなケースですと、日本に居ながらアメリカグーグルプレイストアでアプリ収益を得たり、日本から発送した商品をアメリカアマゾンやイーベイのマーケットで販売した収益などが当てはまります。
アメリカの会社や金融機関から収入がある場合は、その会社や機関が適切な源泉徴収額を決定するために、受給者は自身がアメリカ居住者か非居住者のどちらに該当するのかを報告しなくてはいけません。もしアメリカ居住者の場合で収入が就労所得でない場合はForm W-9という申告書を提出します。Form W-9を提出した場合は30%の源泉徴収はされません。
もしアメリカ非居住者の場合で収入が就労所得でない場合はForm W-8BENを提出します。Form W-8BENを提出した場合は30%の源泉徴収が発生します。(各国の租税条約にて源泉徴収率変更あり)
ただし、アメリカ非居住者がアメリカ内でビジネス、またはアメリカとの貿易に従事をして発生した収入がある場合はW-8BENの代わりにW-8ECIを提出します。
アメリカは多くの国と租税条約を結んでいて、アメリカ非居住者は租税条約の下、様々な種類の所得の減税や免税を行うことができます。アメリカと日本の間にも日米租税条約を結んでいます。この度グーグルから案内された広告収入について税務上ロイヤリティーとして取り扱われます。通常アメリカで発生したロイヤリティー収入はアメリカで課税、源泉徴収の対象となりますが、日米租税条約ARTICLE 12 に基づきアメリカでは課税されず日本のみでの課税となります。
従って、日本在住のユーチューバーでグーグルからロイヤリティーを受け取る日本人は、ロイヤリティー支払い者のグーグルに対してForm W-8BENを提出することにより、アメリカでの課税と源泉徴収は免除されることになります。グーグルへ税務報告は3年毎となります。